2024/02/23

ブラジルにおけるデング熱流行と日本製ワクチン「キューデンガ」の光明

ブラジルにおけるデング熱流行と

日本製ワクチン「キューデンガ」の光明




 ブラジルのリオ州がデング熱の流行を宣言したことは、多くの人々にとって深刻な懸念材料です。今年に入ってから既に予想の20倍にあたる4万9千人以上の疑似症患者が報告され、4名が死亡しています。これは、昨年1年間に登録された患者数の96%に達するという驚異的な数値です。私自身、サンパウロ州マリリに住む者として2回のデング熱罹患経験は、この病気の深刻さを身をもって知る機会となりました。

 そんな中、希望のニュースが届きました。日本の武田薬品工業が開発したデング熱ワクチン「キューデンガ」がブラジルで承認されたのです。このワクチンは、デング熱の流行が問題となっているインドネシアや欧州でも承認を受けており、ブラジルでは2023年中の販売が見込まれています。重症化を防ぐ効果が高いとされ、米国でも承認申請がなされています。

「キューデンガ」の特徴とブラジルでの承認


「キューデンガ」は、デングウイルスの4つの型に対応しており、ブラジル国家衛生監督庁(ANVISA)により4歳以上から60歳までの接種対象として承認されました。これは、デング熱ワクチンとしてブラジルで唯一、ワクチン接種前の感染歴検査が不要とされた点で大きな進歩です。他の競合製品では感染経験がある人にのみ使用が限定されていましたが、「キューデンガ」はそのような制約がなく、より広範な人々に利用可能です。

ブラジルでのデング熱ワクチンの展開


 ブラジル保健省によると、初回分として約75万回分のワクチンが到着し、さらに追加分が予定されています。2024年中には約320万人が接種を受けることが見込まれています。特に、デング熱患者が多い地域の10~14歳の子どもたちから接種が始まる予定で、これは最も入院患者が多い年齢層です。

希望と課題


 「キューデンガ」の承認と展開は、ブラジルにおけるデング熱対策に大きな希望をもたらしています。しかし、ワクチンの供給や接種スケジュール、特定グループへの焦点など、まだ解決すべき課題も多くあります。また、リオ市ではデング熱媒介蚊の予防と対策を強化しており、市民一人ひとりの協力が不可欠であることを市保健局が呼びかけています。

まとめ


 デング熱は、ブラジルにおける公衆衛生上の大きな問題です。しかし、「キューデンガ」のような新たなワクチンの導入により、この病気との闘いにおける新たな一歩を踏み出すことができます。個人の予防策と公的な取り組みが組み合わさることで、デング熱の脅威を大きく減らすことができるでしょう。私たち一人ひとりが意識を高く持ち、適切な対策を講じることが重要です。

予防が最優先

デング熱の予防は、主に蚊に刺されないようにすることに焦点を当てるべきです。以下は、私が実践している予防策です:

  • 蚊よけ対策: 蚊が活動的な早朝や夕方には外出を避け、蚊よけスプレーやローションを使用する。
  • 環境管理: 家の周りの水たまりを排除し、蚊の繁殖場所を減らす。
  • 適切な衣服: 蚊に刺されにくいよう、長袖や長ズボンを着用する。
  • 蚊帳の使用: 睡眠中も蚊に刺されないように、蚊帳を使用する。






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2024/02/21

老・病・死を見て世の非常を悟る 『 無量寿経』 今週のことば 尾畑文正   中日新聞コラムより ブラジルポルトガル語翻訳あり

老・病・死を見て世の非常を悟る

『無量寿経』







今週のことば 尾畑文正


王族であった釈迦は、城郭の外に出て苦の現実を見たとされる。門の外とは、インド社会の貧困と差別を象徴している。そんな現実を土壌にする仏教に引かれて、何度もインドを旅した。ある年、ガンジス川沿いのベナレスの火葬場付近に一週間滞在した。


 毎日、死者たちが焼かれて灰になるまで見ていた。その炎が、与えられた命を弄んで、共に生きる世界を見失っている私を叱責するように感じられた。それは、自ら善とし他を悪として自己を絶対化して生きる私に「おまえは何者か」と問いただす炎であった。


 自己絶対化と言えば、その典型 は「やつは敵だ。敵は殺せ」とする究極の人権侵害としての戦争である。戦争が続く現在、私たちには、かつての日本の侵略戦争への無反省、現在に続く民族差別への無頓着が改めて問われている。その問題を抜きに、現在の戦争をひとごとに論じてはいないだろうか。自己絶対化は正義の顔をして現れる。


(同朋大名誉教授)






“Ao ver a velhice, a doença e a morte, a pessoa se dá conta da impermanência do mundo”


“Sutra da Vida Imensurável”


Palavras da semana 


Bunsho Obata


Diz-se que o Buda, que era da realeza, saiu dos portões do castelo para ver a realidade do sofrimento. O lado de fora do portão simboliza a pobreza e a discriminação da sociedade indiana. Atraído pelo budismo, que suja essas realidades, viajei para a Índia muitas vezes. Em um ano, passei uma semana perto do crematório em Benares, no rio Ganges.


 Todos os dias, ele observava os mortos queimarem até virarem cinzas. As chamas pareciam uma repreensão a mim por brincar com a vida que me foi dada e perder de vista o mundo em que vivemos juntos. Foi uma chama que me perguntou: "Quem é você?", pois vivo minha vida me absolutizando como bom e os outros como maus.


 Falando em auto-absolutização, o epítome disso é o direito humano supremo de dizer: "Ele é o inimigo, mate o inimigo. A guerra é a maior violação dos direitos humanos. Hoje, enquanto a guerra continua, mais uma vez somos convidados a refletir sobre a falta de remorso pela guerra de agressão do Japão no passado e sobre nossa indiferença à discriminação étnica que continua até hoje. Sem essa questão, será que não estamos discutindo a guerra atual caso a caso? A auto-absolutização aparece em face da justiça.


(Professor Emérito, Universidade de Doho)



ポルトガル語の単語とその日本語訳:


1. velhice - 老年

2. doença - 病気

3. morte - 死

4. impermanência - 無常

5. sofrimento - 苦しみ

6. pobreza - 貧困

7. discriminação - 差別

8. realidade - 現実

9. crematório - 火葬場

10. cinzas - 灰

11. repreensão - 叱責

12. inimigo - 敵

13. guerra - 戦争

14. violação - 侵害

15. direitos humanos - 人権

16. remorso - 反省

17. agressão - 侵略

18. discriminação étnica - 民族差別

19. justiça - 正義


---


翻訳にあたっての大事な構文:


1. "Ao ver a velhice, a doença e a morte, a pessoa se dá conta da impermanência do mundo” - 「老・病・死を見て、人は世の無常を悟る」

   - 主語「人」が後に来るのがポルトガル語の特徴。


2. "Diz-se que o Buda, que era da realeza, saiu dos portões do castelo para ver a realidade do sofrimento.” - 「王族であった釈迦は、城郭の外に出て苦の現実を見たとされる」

   - 関係代名詞「que」を使用して関連付ける表現。


3. "Atraído pelo budismo, que suja essas realidades, viajei para a Índia muitas vezes.” - 「そんな現実を土壌にする仏教に引かれて、何度もインドを旅した」

   - 「Atraído pelo budismo」の「pelo」は「por」+「o」で「仏教によって」を意味する。


4. "Todos os dias, ele observava os mortos queimarem até virarem cinzas.” - 「毎日、死者たちが焼かれて灰になるまで見ていた」

   - 時間を示す「Todos os dias」の表現。


5. "Falando em auto-absolutização, o epítome disso é o direito humano supremo de dizer: 'Ele é o inimigo, mate o inimigo.” - 「自己絶対化と言えば、その典型は「やつは敵だ。敵は殺せ」とする究極の人権侵害としての戦争である」

   - 「Falando em」で「~について言えば」という意味になる。


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2024/02/19

「Soraの魔法:BASICからAIへ、進化する技術が描く創造性の旅」


「Soraの魔法:BASICからAIへ、進化する技術が描く創造性の旅」


 先日OpenAiが新しくリアルな動画を作成するSoraというシステムのデモを見てびっくりしました。その時もう45年前ほど中学時代、NECのPC-8801でBASIC言語を使って日本国旗を作ったことをよく覚えています。一つ一つのコードを入力して、赤い円がゆっくり画面に現れるのを見るのは、当時としては大きな挑戦でした。それを経験してから現在に至るまで、技術がどれほど進化したかには本当に驚かされます。






今では、たった一言で「浄土の風景を描いて」とAIに頼むだけで、想像もしなかったような美しい画像や動画がすぐに作られます。BASICの時代には考えられなかったことですが、今の技術は私たちの創造力に新たな可能性を開いてくれています。

昔は、プログラミングを通じてコンピュータの仕組みを学び、そのプロセス自体から楽しみを見出していました。しかし、現代のAIは、私たちが想像もしなかった作品を一瞬で作り出すことができます。このような進化は、作業の効率化だけでなく、私たちが表現する方法を根本的に変えています。



それでも、昔のように手作業でコードを書くことの価値を再評価する必要があるかもしれません。過去の技術を理解することは、新しい創作のアイデアを生み出し、未来に向けて道を開くのに役立ちます。


 このように、BASICの時代から現在のAI技術に至るまで、技術の発展は私たちの創造性を広げてくれています。昔手作業で作った日本国旗から、AIが描く幻想的な浄土の風景まで、技術の進歩は私たちの表現方法を豊かにし、新しい可能性を提供してくれています。これからも、過去の経験を大切にしながら、新しい技術を使って、もっと素晴らしい創作物を作っていきたいものです。




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